
届かない・騙された等の悪評が多いファッション通販サイト「Hassyon」の注意喚起を書いたら、脅迫の連絡やDMCA悪用の悪評隠蔽があったという報告。これはひどい。>噂の『DMCA悪用』によってブログ記事が検索結果から削除された話 | Kurasheep https://t.co/ufpx90Zei3
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2018年6月4日
まず結論として、
HASSYON、Fancy-Style、Kirabuy、JP-MAN、DWSTYLE、DK-GIRL、akBAGS、INSLOVELY、WooPink、VOGUE SOLO、FASHION DM、FashionEC、 DW GIRL、ABcloset、MALLASA、SheHello、coszozo、Hawayon、Kubecase
これらの通販サイトは同系列の悪質な詐欺まがいの通販サイトであると推察され、
掲載された写真と異なる類似品や粗悪品が届く可能性が高く、購入を推奨できません。
また購入済みの方も、商品の状態に関わらず必ず個人情報保護の措置を行ってください。(特にクレカ決済の場合)
本記事ではその根拠と経緯を記し、通販サイトに対する適切な対応について考えていきます。
なお、これら19サイトの同系列性については、特商法表記・サーバー登録情報・転送先電話番号・ページ組成から慎重に精査されたものです。
ただし、この系列が行っている特商法をはじめとした様々な違法行為、実態のない国内事業所の偽装、DMCAの悪用およびSNS等での悪評隠蔽や逆SEO、これまでの莫大な被害実績を踏まえると言うまでもなく購入は推奨はできず、購入済みの方についても「商品の状態に関わらず」個人情報保護の措置をなさることを強く推奨いたします。
現状残っているのは現在ではなりを潜めている同系列(fancy-style)の口コミ掲示板くらいですが、返金実績のリアルな口コミや体験談が多数寄せられているので参考になるかと思います。
今回の経緯
それは平和な冬の朝でした。
最近仲良くしてくれている大家さんから電話が。
大家さん
北山 羊輔
大家さん
_人人人人人人人人人_
> LINEの服屋さん <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
聞き覚えのないパワーワードが飛び出しました。
よくよく話を聞いてみると、LINEの内蔵ブラウザの広告に表示される『Fancy-style』というファッション通販サイトで服を購入した模様。
どうやらこのアドセンス広告は、LINEだけでなく、Facebookやインスタグラムなどにも頻繁に表示されるようで、信用できる大手のファッションサイトだと勘違いして購入してしまったようです。
残念すぎる発送メール
大家さん
という事で、メールを確認してみると、これがあまりにもひどい。
_人人人人人人人人人人_
> 国際郵便株式会社 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
またしてもすごいワードが出ました。偏差値が吸い取られそうなネーミングです。
日本郵政以外が『郵便』の2文字を社名に掲げる事などあるはずがありません。
ちなみに問い合わせ番号は4ケタ、メールのリンク風部分は全てただのテキスト、写真が昔のファミコンみたいな解像度などツッコミどころ満載のメールでした。
大家さん
北山 羊輔
という事でこの時点でカード会社に連絡。カードの停止と再発行手続きを行いました。
そもそも日本の服じゃない
さて、この『Fancy-style』なるサイトに実際にアクセスしてみます。
・・・・・・
北山 羊輔
大家さん
純情な大家さんは騙せても、女の子大好きの僕は騙せません。
この赤リップ、濃い目の跳ね上げアイライン、太めのブラウン並行眉と髪型。違う。
商品画像をよく見てみると背景にハングル表記が頻繁にみられ、韓国系統を装っている事が見て取れます。手口はどうみても中華系なわけですが。
先述の通り、このECサイトのアドセンス広告は韓国カルチャーに興味のある方を狙って表示されている可能性が高く、おそらく購入者の多くは韓国系のファッションを扱っている国内運営あるいは韓国運営のサイトと認識していると思われます。
それにしても商品自体は、シンプルで上品なデザインのアイテムばかりで、価格も格安ながら『ありえなくもないのかな』程度の絶妙なラインに設定されています。
この無駄なセンスの良さもこの系列のやっかいな部分です。
大家さん
北山 羊輔
レビューが面白すぎる
さて、実際に大家さんが買ったという商品ページを見てみます。
ふとレビュー欄を見ると、とてもカオスな光景が広がっていました。
田中、美子、夏木、秀子、志摩子、聡子、洋子、良美、工藤、絵美、橋本、真千子、高崎、里実、智恵美、恵子、聡子・・・・・・・
このような一体感溢れるハンドルネームの皆様の☆5レビューが永遠と続きます。
まったく、日本人のネットリテラシーも舐められたものです。
コメント内容もなんとも言えない不自然な日本語の連続で、なんだかシュールです。
他のファッションサイトからコピペしてくればいいのに不慣れな日本語で一生懸命書くあたり、ちょっとかわいい。
特定商取引法表記が適当すぎる
言うまでもなく、ネット通販においては「特定商取引法に基づく表記」の表記義務が法律で厳密に定められています。
どうせ適当なんだろうなと思って覗いてみると、案の定でした。
基本的に特定商取引法で定められた「特定商取引法に基づく表記」の指定項目はなんとなく守っている風の作りをしてはいますが、内容はデタラメで違反まみれ。
『株式会社キラバイ』を名乗っていますが、言うまでもなく株式実績は存在せず、実態のない架空事業所である可能性が高いでしょう。電話番号は適当なリダイヤル番号で転送。何点かの項目漏れに文面は誤字だらけ。
後にこの表記などを基に、いくつかの同系列サイトを発見したのですが、全てのサイトにおいて全体的に雑に作られていました。
住所:2~3パターンを使いまわし。電話番号の市外局番と不一致。サイトによっては存在しない番地が記載。
電話番号:基本的に市外局番と郵便番号が不一致、「50-」などそもそも存在しない市外局番の使用。
また、消費者庁の現行法の解説では「電話番号については、確実に連絡を取れる番号を記載する」事を義務づけていますが、fancy-styleの記載番号(03-4540-6717)については英語の不在アナウンスが流れるだけで全く連絡がつきません。
そもそも、特定商取引法において、『現に活動している住所(法人の場合には、通常、登記簿上の住所と同じと考えられる)』と定義づけられた記載住所が埼玉県であるに関わらず、電話番号の市外局番は東京というのは、なかなか複雑な営業形態をなさっているようです。
もし国内にそういった拠点があるのであれば、2015年から現在まで放置されているとは思えません。
他にも、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合に明記を義務付けられている代表者・責任者氏名自体の項目がないなど、各サイトで多数の違反箇所が見受けられました。
また、よほど検索されたくないようで、電話番号などはわざわざimgファイルに置換して、インデックス対策をしています。
ドメインのサーバー登録も国際色溢れる適当さ。
固定番号の市外局番と住所は一致させてほしいところです。
同運営と思われるサイトを複数発見
冒頭にも記載しましたが、Fancy-styleの特定商取引法表記や、サーバー情報から情報の重複を検索し、同じ系統と思わしき通販サイトを複数発見しました。
HASSYON、fancy-style、Kirabuy、JP-MAN、DWSTYLE、DK-GIRL、akBAGS、INSLOVELY、WooPink、VOGUE SOLO、FASHION DM、FashionEC、 DW GIRL、ABcloset、 MALLASA、SHE HELLO、coszozo、Hawayon、Kubecase
現段階で判明しているのは以上の19サイト。他にも見つけ次第、随時掲載していきます。
特定商取引法表記だけでなく、サイトの体裁や内部の商品、バナーまで使いまわしています。
住所は2~3パターン。電話番号は各サイトで適当な番号を振り分けてimg処理。やはり全体的に雑なつくりです。
株式会社キラバイや、例の埼玉県川口市の住所が使われているサイトもチラホラ。
特商法表記やページ組成、特有カタコト文面の重複から同一性は明らかではあるのですが、最も分かりやすい点でいえばこれらサイトの電話番号の転送先が全て同一であることでしょう。詳しくは後に記します。
最近はインデックス対策として、テキストのほとんどを画像化するという大変涙ぐましい努力が見られますが、そもそも日本語があまり卓越でないために商品名やレビューに特有のクセが出ているうえ、サイトの構成に複数の特徴があるためある程度の検出は可能です。
ツールで監視してはいますが全てを拾い上げることはできないため、上記以外に同一運営と思われるサイトを見つけた方はご連絡いただけますと幸いです。
あまりに露骨な悪評隠しや隠蔽工作
この系列のECサイトの最大の特徴が異常なまでの隠蔽体質。
香港の通販サイトHassyonすごいな。DMCAや知恵袋・Twitter大量投稿、逆SEOサイト大量作成と全力で隠そうとしているけど、少し探すと隠しきれない「届かない」とかの詐欺として悩む声が沢山。
自然検索はほぼ悪評露出できてるけど、Google・ヤフーも各種ソーシャルも広告が出続けていて微妙すぎます…… https://t.co/vcNOKE423b— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) April 29, 2018
SNS関連
24時間体制で活動的な隠蔽が行われているのがSNS。
例えばTwitterで『Hassyon』と検索してみると、
イラストレーターとか、仕事は自分で見つけないとやってられない、応援しててもその人に直接お金を渡せないし、その人の出した作品買うしかないみたいなのが、今はネットを介して投げ銭みたいなことができるの良いよね #Hassyon #ネットは凄い #好きな作家さんにお金を出せる
— hassyon (@joshiryoku__h) June 12, 2018
妊娠したら指輪とジェルネイル外してっていうやつ、自分もかなりわかる。妊娠後期、外してた指輪を何となくでつけようとしたら向くんでつけられなかったんだよね #妊娠 #指輪 #Hassyon
— hassyon (@girl___ha_) July 17, 2018
横断歩道の色が変わって、普通に歩きだしたら目の前をバイクが横切っていきました。凄く驚きましたし、もしも走っていたら衝突していたかと思うとぞっとします。 #あわや事故 #危険運転しないで #Hassyon
— りかこ (@rikaco205) May 1, 2018
このように『#Hassyon』というタグをつけて、無関係な内容を定期的にツイートするBotが大量に表示されます。
要はこれ、購入を迷っている人等がサイト名で検索した際に、被害者の声などの情報が表示されちゃうと困るんで検索タイムラインを上書きしようとしているわけです。ショップ名をそのままユーザー名にするというさすがの大胆さ。
詐欺通販サイトとして有名なHassyonを検索していたら不自然にこのタグを付けて関係ないツイートを連発している即席っぽいアカウントが何個か上がって来る。被害者のツイートを流して誤魔化す気なのか。本当にどこまでも悪質。こういう業者早く滅びろ!#Hassyon #詐欺
— ベーコン大好き (@quizbaconlove) March 15, 2018
この他にもTwitterやInstagram、FaceBookではサイト毎の商品情報を流すアカウントが多数存在します。
🌸人気抜群長袖無地ゆったり着痩せ合わせやすいブラウス
👉https://t.co/8Bz870Z9iz
5点以上購入で送料無料
新規会員登録で500円OFF pic.twitter.com/CFF3xCPi0d— SheHello (@SheHelloFemale) 2018年8月10日
盗用画像を毎日堂々とツイートしまくるメンタルはすごい。
Yahoo知恵袋も工作だらけ
Yahoo知恵袋をはじめとした『質問サイト』にも被害者や購入検討者の質問が定期的に上がるわけですが、これも隠蔽まみれです。
一般的に、この手の質問サイトを利用した隠蔽や工作は見分けるのは難しいのですが、この系列は日本語があまり得意でないため一瞬で見分けることが可能です。名言ラッシュなんでちょっと面白かったりします。
『ワンピス』『可愛いい』『一番気に入ります』
『私とても気に入りますよ~』
『私ずっと』『安心で使ってください』
こんな感じの『絵に描いたようなカタコト日本語回答』が多くの質問に相当数書き込まれています。やはり日本語の助詞って難しいんですね。
ちなみにユーザー名から辿れば分かると思いますが、これらアカウントはすべてこの1回の回答用に作られた捨てアカウントであり、捨て垢同士で互いに投票するためベストアンサーに選ばれているケースも多く見られます。
まぁこれだけバレバレの工作であれば、これを読んだ方が逆にこの系列のヤバさを認識するキッカケになっているかもしれません。
Yahoo知恵袋:2018.05.31 yul********さんの質問
質問も回答も自作自演』という荒業も多数見られます。そしてこれがgoogleの最上位表示ページというSEOの罪深さ。
ちなみに最近ではこのような『
DMCAへの虚偽申請
Hassyonという海外の通販サイトへの2017年の文句記事は、2015年に書かれた別記事盗用だとして消された事例。サイト名で検索すると、「騙された」というページと薄っぺらい絶賛記事と、17件の削除済が確認できてもう戦場です……https://t.co/x5m4sK3ujM pic.twitter.com/BuxAN76Mi7
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) April 29, 2018
米著作権法DMCAまでも悪用するのがこの系列のヤバイところ。
Googleなどの検索エンジンで表示される都合の悪い記事には、片っ端から虚偽のDMCA申請を行って検索結果から削除しています。
冒頭にも書きましたが、この記事も過去に検索除外をされた経緯があり、その際の手口がビックリするほど雑だったので興味のある方はぜひご覧ください。
噂の『DMCA悪用』によってブログ記事が検索結果から削除された話
悪用っていうか、すでに偽装とか(Googleの業務に対する)虚偽申請や業務妨害なので、刑事処罰的になんとかならんのか。海外犯でも相互条約によってはなんとかなる場合もあるし
噂の『DMCA悪用』によってブログ記事が検索結果から削除された話|Kurasheep https://t.co/Dj3V4HIe5m
— ROCA@萎縮中 (@rocaz) June 5, 2018
自社情報の偽装
サイトによっては、『企業情報』だとか『会社概要』的なページが設けられていることもあるんですが、これがあまりにも酷い。
例えばこちら『VOGUESOLOの紹介』というページ。
出典:news.panasonic.com_プレスリリース_2018.03.03
なんと工場画像はPanasonicの大連電池工場のコラ画像。怒られろ。
自称『裁断室』は誰がどう見ても自動車製造工場。射出成形機の存在感よ。
そしてお得意の「ページ丸ごとimg」でインデックス&画像検索対策。
日本人はこれを信用すると本気で思われているのでしょうか。
稚拙ながらも、ここまでする度胸には少し恐ろしいものを感じます。
フィッシング詐欺との関連性も
これらの系列で商品を購入した際、入金確認等の連絡がSMSに入ることがあるのですが、驚くべきことにその番号がLINEやカカオトークで頻発している『フィッシング詐欺の電話番号と完全に一致』しているという報告が上がっています。もはやこういった個人情報取得を目的とした詐欺行為を手広く行っている事は明白なわけですが、これでも警察は動いてくれないんだから闇が深い。03-4405-9317あたりでググってみてください。
https://twitter.com/a_chan6pngn/status/1027752315942359040
また届いた国際郵便が、黒いビニールに包まれて届いたという報告が多く上がっています。実際に大家さんに届いた商品も黒いビニール袋にガムテープをぐるぐるに巻いた包装でした。
これは、最近多発している中国系送りつけ詐欺の外装の特徴と酷似しており、関連性については分かりませんが、いずれにせよ購入者はこういった形態の詐欺についても長期的に警戒が必要だと思われます。
差出人が不明の中国からの郵便物(黒いビニール袋に入っていて中身は見えず品名「上着」とある)が届いたので消費者センターと郵便局に確認。送り付け詐欺の国際版です。郵便局に戻して受取り拒否をするのがよいそうです。開封はしないこと。差出人不明の郵便物にはご注意ください。
— 田口ランディ(Randy Taguch) (@randieta) December 6, 2017
注文した商品は届かないのか
結論から言うと、おそらく中国から国際郵便でなにかしらの商品が届きますが、その多くが粗悪品・類似品であると思われます。
以前は商品が全く届かないという被害報告も多かったのですが、最近では減少傾向にあるようです。
今回の大家さんの場合は、注文から4週間後に中国から黒いビニールの国際郵便が届きました。
商品がマイナーな類であり、写真を掲載することで相手業者に大家さんの個人情報を特定される恐れがあるため、ここでは公開しません。
今回大家さんは2点の商品(8000円分)を購入したのですが、
- ワンピース:ボロボロでシミだらけ
- セーター:カラー・模様ともに掲載写真と全く違う上に糸くずまみれ
というあまりにもひどい有様でした。しかもなんか臭いという。
言うまでもなく、こんなの余裕で特商法第12条違反です。
参考 特定商取引法とは>通信販売特定商取引法ガイド(消費者庁)2.誇大広告等の禁止(法第12条)
特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と相違する内容の広告による消費者トラブルを未然に防止するため、 表示事項等について、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
他に買ったものも、とにかく全てよくわからない中国製でした。生地はペラペラ、ほつれはたくさんあり、穴が開いているものや、袖が壊れているものもありました。みなさん買わないでください。 pic.twitter.com/biO3E3ZJAf
— dkgirl被害者の会 (@crshcrokeddeal) May 8, 2018
https://twitter.com/minmin_makura/status/942325172693897217
ありえへん!Hassyonネット通販で買った服。破れたとこをめちゃくちゃに縫ってある!!返品申し込んだら対象になりませんって。詐欺?最悪_| ̄|○#Hassyon pic.twitter.com/5SJ1SzIaC8
— まあちゃん (@yasujks) August 24, 2017
おまたせしました。
今日は一枚upしたいと思います。
①ペラッペラ
②襟元が変に縫い付けられてる
③サイズ全然違う#dkgirl pic.twitter.com/2cglbmZuIr— ある (@TdsHC1S6jB53vsR) May 20, 2018
大家さんに届いた商品や被害報告の写真を見る限り、元の商品に似せようとしている、あるいは粗悪を認識したうえで隠蔽しようとしている意図が見えます。
また、この系列で扱っている商品画像はその多くがサイト間で重複しており、画像検索をかけてみるとアジア言語圏に同じ画像を使用したECサイトが大量に存在することが分かります。
国内にもDoresuwe・Taidobuyといった商品重複の見られるECサイトが多数存在するのですが、サイト構成や対応等に本系列との明確な違いがあり明らかに同系列ではありません。
こういった事から推察するに、やはり別の製造元が中国国内に存在すると考えるのが妥当でしょう。
- 製造元の組織が画像と模倣品をセットで提供し、これらのECサイト群系列に販売契約している
- 中国国内にこういった粗悪品を製造する下請けの製造元が多数ありECサイト群系列の発注を引き受けている
考えられるパターンとしてはこの辺りでしょうか。卵が先か鶏が先かは分かりませんが、いずれにせよ複数の組織体系で行われている事は間違いないでしょう。
個人的には数々の被害報告から包装や発送元住所にバラつきがあるという印象を得ており、②に近いモデルで発送まで丸投げの可能性もあると考えています。私達日本人にはあまり想像しにくい事なのですが、中国において模倣品製造というのは巨大産業であり、その製造元は大組織から個人レベルまで莫大な数が存在するのです。
個人的に気になったので商品の重複がみられるとある輸入系ECサイトに卸元やバイヤーについて問い合わせた事もあるのですが、詳細を教えてもらうことはできませんでした。
さて本題に戻りましょう。
仮に許容範囲に収まる品質の商品が届いたとしても、住所や名前、電話番号などの個人情報は相手に渡ってしまっています。
特に購入時に登録したメールアドレスとパスワードの組み合わせも相手に渡ってしまっている事を忘れないでください。対策についてはこの後記述します。
また、届いた商品がまともであったからといってSNS等で購入を助長するような書き込みをすることは絶対にやめてください。本来、通販でのクレカ決済というのは相手への確実な信頼とその根拠が確認されて初めて行われるべき行為であることは、決済システムの脆弱性をご存知の方ならばお分かりになるはずです。
家庭用品品質表示法に基づくタグについて
なお、今回届いた商品にはタグが一切付いていませんでした。
衣類販売に携わった事がある方ならば当然ご存知でしょうが、一般消費者が通常生活の用に供する繊維製品については、家庭用品品質表示法の対象範囲になっており、対象商品の販売を行う場合には、家庭用品品質表示法に基づいた表示義務があります。
・「販売者の氏名または名称」と「住所または電話番号」
・製品に使用されている繊維の混合率
などの表示です。皆さんのお持ちの衣類には必ずタグが付いており、これらが表記されていますよね。
言うまでもなく、輸入品についてもこれらは当然適用され、外国の業者の場合は責任が追及し難いこと等の事情があるため、消費者庁では特に適正な表示を求めています。
詳しくは消費者庁HPの家庭用品品質表示法 > 法律の概要をご参照ください。
参考 家庭用品品質表示法 > 法律の概要消費者庁
相手の本拠地は中国?
これに関しては断言はできませんが、少なくとも、今回大家さんに届いた国際郵便の送り主住所は中国でした。
郵便局のログも調べてみましたが、間違いなく中国広州市の国際交換局を経由しています。広州市は模倣品製造の中心地として有名ですね。
ただし前述の通り、発送元=販売元とは言い切れないのでご注意を。
購入してしまった際の対応
実は今回の大家さんの件に関しては、まだ解決に至っておらず、現在カード会社・警察と調整しながら手続きを進めているところなので、現段階で言える事だけを記します。
クレカ決済の場合
言うまでもなくクレカの不正利用というのが最悪のケースです。
クレジットカード決済の方は必ずご対策ください。極めて危険です。
参考 悪質Hassyonにカード不正利用されてしまったれいこ茶屋カードの停止・再発行
絶対に認識しておいてほしいのですが、あなたが購入時に入力したクレカ番号・名義・セキュリティコード3桁があれば、相手は今すぐにでもクレカを不正利用する事ができます。
上述のように実際の不正利用報告も何件か上がっており、早急な対応が必須です。
可能な限り早く、クレジットカード会社に連絡しご相談ください。ほとんどの場合カードの停止・再発行を行う流れになるかと思います。
銀行振込の場合
銀行振込の場合は、おそらく相手の引き出しよりも早く凍結を行えるかが鍵になるので、より素早い対応が必要です。
銀行・警察への相談
銀行振込の場合は『振り込め詐欺救済法』の対象になる可能性があり、相手側の口座を凍結できる可能性がありますので、銀行に相談してみましょう。
口座の凍結にはその業者に対して被害届の提出(事件化)が必要であり、必要に応じて警察へ相談するように指示される場合もあります。
ここはちょっと賛否の別れる話なのですが、基本的に警察は小額での被害届に消極的なので苦労するかもしれません。
個人的には、被害届の件数が増えることで、警察が本腰をいれて操作に乗り出してくれる可能性もあると思っています。
詐欺業者をつけ上がらせないためにも、可能な限り被害届を提出してほしく思います。
個人情報の保護
サイトに入力した住所や電話番号などの情報は相手に取得されてしまっています。
上でも述べましたが特に留意してほしいことは、あなたが購入時に作成したアカウントのメールアドレスとパスワードの組み合わせも完全に相手に渡っているという事です。
ですので、もしメールアドレス・パスワードの組み合わせが重複している他のWEBサイト・WEBサービスがあれば、早急にパスワードを変更(大文字・数字・アルファベット混在推奨)してください。可能であればメールアドレスごと変更することをオススメします。
個人情報というのは、ある種の業者にとって私達の想像以上に価値のある物です。外部に流用され時間差で悪用されるケースが多く、長期的な警戒が必要です。
一端のエンジニアから言わせていただければ、
- このような悪質な販売モデルを数年に渡って行い、
- 実態の無い事業所などあらゆる経営情報をでっちあげ、
- TwitterなどのSNSで露骨な悪評隠しを繰り返し、
- 米著作権法DMCAすら平然と悪用して隠蔽工作を行う。
そんな肝の座った連中が、横流しするだけで簡単に金になる個人情報を長期的に保護してくれると考えるのはあまりにも都合がよく不自然です。ご対策なさることを強く推奨します。
粗悪品が届いたら
例の黒いビニールに包まれた粗悪品が届いたら、カード会社に電話。
カード会社によって対応が異なるかもしれませんが、多くの場合は上図のような異議申立書の様式を郵送してくれると思います。届いたら内容を記入し、粗悪品の写真や、国際郵便物のラベル写真などの証拠品を同封して返送しましょう。
カード会社側で調査を行い、異議申立が妥当であると判断されれればチャージバックが行われる可能性があります。
相手への連絡
こういった事例では本来、相手方にキャンセルの意向を連絡したいところですが、この7サイトの系列に関しては
・電話番号は9割方転送され自動音声で放置
・メールアドレスは9割方虚偽
・HPの問い合わせフォームはただのテキスト
といった有様ですので、相手方と連絡をとるのは極めて困難です。
一部のサイトでは問い合わせフォームが機能していた事例や、ショップのSNSのDMなどから、相手方と連絡が取れた例もあるようです。
ただ、連絡が取れたとしても、つたない日本語で発送遅れの下手な言い訳をされるだけで、核心をつかれると音信不通になるご様子。
基本的にこちらのキャンセルを聞き入れるとは思えませんが、連絡してみるのも手でしょう。ただし相手側に新たな個人情報を受け渡すような事だけはないようにご注意ください。
hassyonという通販サイトで詐欺被害に逢いました。振込から5日経過しても発送連絡なし。カスタマーの電話番号は一切つながらない。FBから強くメッセージを送ってもなんら音沙汰なし。追跡番号は該当なし。めちゃくちゃな日本語。 pic.twitter.com/0FZjB1y6PL
— み太郎 (@mmmdmmaru) November 28, 2017
電話は一部通じるが…
これらの系統に記載されている電話番号についてはサイトによって全て異なるのですが、3~4パターンの転送番号に割り振られています。
調査をかねて全19サイトの電話番号に定期的に電話していますが、
- 『順番でおつなぎしますのでしばらくお待ち下さい』というちょっとカタコトな優しい声のお兄さんの音声ガイダンスが流れる OR 同意義の文言の英語のナビアナウンスが流れる
- 優雅な音楽とともに数秒~2分間待たされる
- 英語 or 日本語でメッセージ残せというアナウンス
ほぼ全ての番号においてこのパターンであり、まともに電話は繋がりません。
しかし実は、その時々で力を入れている1サイトについては電話がつながる事があります。
2018年5月現在ではShe Helloの番号が繋がるように設定されており、平日に電話すると『例の優しい声のカタコトお兄さん』が対応してくれます。やっぱりお前か!
複数回に分けて電話し色々と質問しているのですが、特商法表記など都合の悪いことを聞かれると黙ってしまいますし、そもそも会社概要を聞いても教えてくれませんし、上の方に繋いでいただくようにお願いしても『自分しか居ない』という、借金取りから親をかばうちびっ子の居留守みたいな対応しかしてくれないので、特に収穫はありませんでした。
ちなみに上述の通り、購入後に電話をしたところで状況に変化はありませんし、下手に個人情報を明け渡すことにつながりかねないので基本的に推奨しません。かけるんなら非通知でどうぞ。
通報をお願いします
サーバーなどのログを見る限り、これらのキラバイ系詐欺サイトが立ち上がったのが、恐らく2015年前後。
当初から、ネットやSNSには数多くの被害者情報が書き込まれており、莫大な数の被害者が存在すると思われます。
商品や犯行手法の性質上、被害にあったとしても泣き寝入りしている場合が大半であると推察され、実情の被害件数は我々の想像を超えているでしょう。
消費生活センターや、警察にも数多くの問い合わせが上がり、おそらく各組織において様々な調査が行われていると思われますが、これらのサイトは未だ野放し状態にあります。
こういった国際的な案件はデリケートですし、他にもなにか踏み込めない事情があるのかもしれません。
私たちにできることは、関係機関に対して、とにかく一人でも多く通報することです。
個人の通報を積み重ね、警察や消費者庁などの関係機関が動きやすい地盤を築いていきましょう。
通報・相談先リスト
・消費生活相談窓口:電話番号 188番(いやや!)
※188で最寄りの相談窓口につながらない場合は、03-3446-1623
参考 都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧警察庁 参考 越境取引に関する消費者相談窓口国民生活センター越境消費者センター(CCJ) 参考 インターネット上の違法情報の通報フォームインターネット・ホットラインセンター
大手通販サイト以外から購入するリスク
まず原則として、普段ネット通販を利用しない方は
楽天やYahoo、Amazonなどの大手以外を利用するべきではありません。
個人販売店の持つ希少性やオリジナリティーなどという僅かなメリットなど、個人情報や金銭を失う莫大なリスクと天秤にかけるに及びません。
それでも、どうしても個人販売者から購入したい場合には、必ず以下の事項を確認して下さい。
- 値段は適正か
- 特定商取引法表記の項目に不備がないか
- SNSやWEB全体での評判はどうか
- レビューやサイト内の日本語表現に違和感はないか
- サーバー登録情報に不備はないか
敷居が高いようですが、この程度のリサーチはできなければ個人販売通販サイトは利用できないと考えるべきでしょう。
中華系の詐欺サイトはファッション系のみならず、様々な分野に存在しています。
今回紹介したサイトについては、新しい情報が入り次第、随時更新していきたいと思います。