2022年上半期の買ってよかったモノまとめました(07/12)

【一眼レフ】初心者がエントリー機で『星グル写真』の撮影に挑んできた

北山 羊輔

どうも!D3200を愛する男、北山 羊輔(icon-twitter-square@ysk_kitayama)です。

最近ははなかなか写真を撮りに行く機会がなく、撮影技術よりもカメラやレンズのメンテばっかり上手になってしまっている僕ですが、

今回は久々の「型落ちエントリー機で挑戦シリーズ」の第2弾。

【一眼レフ】初心者が型落ちエントリー機で、天の川の撮影に挑んできた

 icon-arrow-circle-up 前回の挑戦で、星空撮影の手法を覚えてから早1年。

夜間の撮影には定期的に通っており、それなりに狙い通りの写真を撮れるようになりました。

 

そこで今回、満を持して挑戦するのが星グル写真

Photo by John Reign Abarintos on Unsplash

英語圏では「Star Trail」と呼ばれるこの撮影手法、

長時間露光等を活用することで星々の日周運動の光跡を捉える手法なわけですが、

調べてみたところ、「後から合成する」という形であればエントリーカメラでも撮影が可能である事が判明。さっそく挑戦してみることにしました。

今回はその「リアルな撮影の様子」や手法について、詳細にまとめていきます。

使用した機材

今回の撮影にあたって必要な機材や手法については、普段からお世話になっている「studio9」さんの記事を参考にさせていただきました。

参考 実は簡単!憧れの星の軌跡写真を撮る方法。お家のベランダからでもOKだよ!studio9

Nikon D3200

2年前に上司から譲ってもらった「Nikon D3200」。

センサーサイズはAPS-C、ISO最大6400。2012年発売のすっかり型落ちなエントリー機ですが、ド素人の僕にとっては十分な代物。今後も大切に使っていきます。

 

 

AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

今回は周りの景色と星空を一緒に画角に収めたかったので、手持ちの中では最も広角なこちらを使用。

D3200のレンズキットに付属していた標準ズームレンズ。普段は単焦点ばかり使っているので久々の登場です。

 

もちろん広角といっても最大18mm程度ですので、より広い画角をお望みの方は本格的な広角レンズを使用されると良いかもしれません。

 

 

ロワジャパンのタイマーレリーズ MC-DC2

普段は一般的なレリーズを使用しているのですが、

調べてみたところ、どうやらNikon機には「連写が100枚で強制的にストップしてしまう」という仕様があるため、タイマーレリーズが必須とのこと。

 

そこで今回新たに購入したのが、「コスパがヤバイ」と噂のこの商品。

2000円以下(執筆時)という価格ながら、インターバル撮影ができちゃうというすごいレリーズでした。最初から純正品じゃなくてこっち買っておけば良かった!!

 

 

Fotopro 三脚 DIGI-204 BK

2年ほど前にAmazonで購入したアルミ製の4段。非常に安価なうえ、軽くて持ち運びしやすいので重宝しています。

しかし、風の強い日などには動いてしまう可能性があるため、星空撮影にはもっと重量のある三脚を使用した方が良さそうです。

 

 

事前に行った準備や設定

カメラのノイズ低減機能をオフに

長時間露光のノイズ低減機能がオンになっているとインターバル撮影ができないということでオフに。撮影後のノイズ除去作業って10秒近くかかるので納得です。

D3200の場合は個別の設定項目がなく「ノイズ低減」という項目がそれに当たるようでした。でもこれ、高感度ノイズ除去も一緒にオフになっちゃう気が…

 

レンズの手ぶれ補正もオフに

三脚を使用するので、誤検知を防ぐため「手ぶれ補正」もオフに。

D3200に「手ぶれ補正機能」はついていないのですが、今回使用する標準レンズがVR搭載であるため、レンズ側面のスイッチを切り替えて補正をオフにしました。

 

撮影の様子

撮影場所とコンディション

今回は普段と異なる基準でロケーションを選びました。

  1. 北方角に北極星が見える場所(最重要)
  2. 山や木などのシルエットが映る場所
  3. 最低限の星は映る、明るすぎない場所

 

やはり北極星を中心にぐるぐるしている様子が撮りたいので、画角の方角は北向き。

そして今回は星の数にこだわらなくていいということで、光害の有無よりも景観を重視しました。

いつもと違うポイントが選べるので、すごく楽しい!!

ということで、選んだのが車で1時間ほどで行けるこの海岸。

北極星が綺麗に見えるうえ、「木」・「山」・「海」・「ほどよい人工の明かり」といった様々なオブジェクトを同時に画角に収められるという欲張りなポイントです。

 

この日は月の入りが午前2時という事で、自宅で少し寝てから海岸に2時半頃に到着。

なお、当日の気温は深夜2時にも関わらず28℃

信じられないかもしれませんが、年間の熱帯夜日数が100日の沖縄ではこれが日常です。

ノイズ低減もオフですし、これはホットピクセルが出まくる予感!!

 

いざ撮影!

撮影設定は現場で調整を行って、以下の値に設定しました。

  • SS  : 15秒
  • F値 : 3.5
  • ISO   : 400

星の数が写りすぎると困るので、普段より少し暗めの設定に。

解説サイトでは、「シャッタースピードは30秒程度」と記載されている事が多かったのですが、

この「外気温+ノイズ低減OFFの環境」では、長時間ノイズとホットピクセルまみれになりそうな予感がしたため15秒に短縮。その分ISO感度を少し上げました。

 

タイマーレリーズの設定も、カメラの設定に合わせてSS15秒(LONG)に設定

ディレイとインターバルは最短値の1秒に設定しました。

 

その後、念入りにピント合わせを行い、画角を調整してから撮影を始めました。

しかし、最初の一枚をタブレットで拡大してみてビックリ。

・・・なんか、ビックリするほどノイズがひどい!!

 icon-arrow-circle-up 拡大してみると全体的にひどくザラついており、相当な高感度ノイズが出ていることが分かります。

やはり高感度ノイズなども全部ひっくるめて「完全にノイズ除去を行わない設定」になっているようです。ぐぬぬ。

 

また、やはり長時間ノイズやホットピクセルもかなり出現。

とはいえ、シャッタースピードを遅くするわけにもいきませんし、ISO値もこれ以上下げると暗すぎますし、とにかくこのまま続行して撮影を続けることにしました。

 

幸いなことに、レリーズのインターバル撮影は正常に動作しており、順調に連続撮影が進んでいきました。

撮影中は暇なので、釣りをしたりKindleで本を読んだりして過ごしました。

 

しかし、撮影を開始してから1時間たった頃から山の上に巨大な雲が発生し始め

 icon-arrow-circle-up 午前4時前には、ついに雷鳴を伴う積乱雲となって「龍の巣」のような様相を呈し始めたため、さすがに車内へ撤収。

明け方まで雷と大雨を振らせ続けました。さすが沖縄、ダイナミック。

 

また、夜明け前には雷が遠方の海に落ち始めたので車内から狙ってみたところ、見事な稲妻の撮影に成功。

思わぬとことでタイマーレリーズ君が真価を発揮しました。

途中から趣旨はズレましたが、色々と刺激的な一夜となりました。

 

RAW現像と比較明合成(コンポジット)

さて、天候の影響を受けずに撮影できた写真はおよそ120枚

想定よりも少なくなってしまいましたが、とりあえずこれで「星グル」な写真を合成してみます。

参考 Photoshopを使って星の軌跡写真を美しく仕上げる方法SHUMON PHOTOGRAPHY

 icon-arrow-circle-up 合成の手法についてはこちらの記事などを参考にしました。

 

必要なソフト・ツール

比較明合成(写真同士をつなげる操作)は、様々なソフトで可能なようなのですが、

今回は代表的な、Adobeの「Lightroom」と「Photoshop」を用いた手法で合成を行いました。

どちらも「AdobeCCのフォトプラン」に内蔵されているため助かります。

 

手順1.LightroomでRAW現像

この行程は普段の星空撮影とほぼ同じ。

作業の流れだけ、簡単にまとめてみます。

手順1
写真を読み込む
 

ライブラリーからフォルダを指定し、撮影した写真をLightroomで読み込みます。

今回は合計で120枚くらい。

手順2
写真を調整して同期

ホワイトバランスや色調・ノイズなどを調整します。

調整が終わったら全ての写真を選択し「同期」をクリック。

手順3
Photoshopに書き出す
 

全ての写真を選択して、[右クリック]→[他のツールで編集]→[Photoshopでレイヤーとして開く]を選択。

i7+RAM32GのPCでも120枚を書き出すのに20分近くかかりました。

 

 icon-arrow-circle-up 調整後の写真はこんな感じ。

星が写りすぎると良くないということで、全体的に普段より暗めに調整

個人的に少し青みがかった色調が好みなので、ホワイトバランスは寒色気味に設定しました。

 

ノイズは処理しすぎちゃうとディテールが消えて「のぺーっ」とした画像になってしまうので、高感度ノイズをちょっとだけ抑制、カラーノイズは色を落とすだけにしました。

「ノイズも味のうち!」と、無理やり自分を納得させるのは大得意です。

 

手順2.Photoshopで比較明合成(コンポジット)

さぁいよいよ画像を合成していきます。

Photoshopに画像がレイヤーとして読み込まれたら、

 icon-arrow-circle-up 全レイヤーを選択して、レイヤーの種類を「比較(明)」に変更。

すると・・・

夜空一面に「美しい軌跡」が描かれました。本当に星グル写真になった!!!

正直不安だったので、とても嬉しい瞬間でした。やっぱり一眼は楽しい。

 

実際に合成してみると、北極星から遠い星ほど大きな円を描いている様や、星によって大きさや色合いに違いがある事がよく分かります。

また、合成するレイヤーの数によって光跡の長さを調整でき、枚数を減らすほど落ち着いた印象の写真になる事も分かりました。

好みが分かれそうな部分ですが、個人的にはある程度ぐるぐる感が強い方が好きですね。

 

手順3.光跡をシュっとさせる

レイヤーの透明度を段階的に下げることで、「星が尾を引いている」ような印象にできるという事で試してみました。

120枚ではキリが悪いので、今回は100枚合成で不透明度を1%ずつ引き上げてみることに。わりと面倒です。

 

すると、確かに光跡が「尾を引いている」ような彗星チックなシルエットに!

少し手間はかかりましたが、写真全体が一気にスタイリッシュな仕上がりになりました。

 

手順4.最終調整

最後に、Photoshopの「Camera RAWフィルター」を使って、色調や明るさ・ノイズ等の最終調整を行いました。

 

結論:簡単ではないが挑戦してみる価値はある

ということで、今回は「星グル写真」の撮影に挑戦しました。

RAW現像のお陰でなんとか見れる写真になっている感があるため、声高に「APS-Cでも撮影できる!」とは言えませんが、「それっぽさ」はしっかりと出すことができたので、初めてにしては上手くいったのかなと思います。

 

 icon-arrow-circle-down 挑戦してみて分かったこと

  1. タイマーレリーズは偉大
  2. エントリー機ではノイズとの戦いになる
  3. 比較明合成の作業はそんなに難しくない
  4. やっぱり一眼レフは楽しい!

タイマーレリーズの設定など少し敷居の高い点もありましたが、

心配していた「比較合成の作業」はそこまで難易度の高いものではなく、初心者でもチャレンジできる撮影だと感じました。

 

icon-arrow-circle-up 北山家のベランダから30枚連続撮影)

また、一般的な星空撮影ほど多くの星を写す必要がないため、光害の大きい都市部や自宅のベランダからでも撮影が可能であり、そういった意味では誰でも気軽に挑戦できるタイプの撮影と言えるかもしれません。

 

今回の撮影を通じてタイマーレリーズの使い方を新たに覚え、一眼レフでの写真撮影が一段と楽しくなったように感じます。挑戦して良かった!

この記事が、全国のカメラ好きや一眼レフ初心者の皆様のお役にたてば幸いです。

北山 羊輔

記事の内容や機材の設定などについてご質問があれば、私のTwitter問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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