数ある掃除機メーカーの中でも特に人気なのが、イギリスのダイソン社。
「吸引力の変わらないただひとつの掃除機」というお馴染みのキャッチで日本に上陸し、人気商品を連発しています。
近年のトレンドであるコードレス・スティック掃除機にもいち早く参入、現在でも最も人気のある掃除機メーカーとして君臨し続けています。
しかし、最も優れたコードレス・スティック掃除機は本当にダイソン製品なのでしょうか?
結論から言って、僕はそう思いません。
ダイソンをこれから購入しようと考えている方にぜひ知っておいてほしいのが
『Makita(マキタ)』のコードレス・スティック。
今回は僕がMakitaの掃除機を薦める理由について説明していきます。
なぜマキタなのか
電動工具の世界的メーカー
引用;MAKITA POWER TOOLS MALAYSIA, MAKITA MALAYSIA_The W warehouse
最近では「マキタといえば掃除機」というイメージも定着してきましたが、本来は言うまでもなく「マキタといえば工具」。
愛知県安城市に本拠地をおくマキタは、電動工具の国内シェア約60%の圧倒的最大手、世界でも第2位のシェアを誇る電動工具の世界的企業です。
マキタの作る電動工具の品質は世界中で評価されており、特にバッテリー周りの品質・開発力には圧倒的な定評があります。
北山 羊輔
技術力に裏付けされた品質と価格
そんな世界から愛されるマキタの掃除機には、マキタがこれまで工具開発で蓄えてきた技術力が注ぎ込まれており、「軽量」「パワー」「充電時間」「持続力」に優れたマキタらしい品質と価格の安さを実現しています。
一般のメーカー製の掃除機に見られるような「機能の多さ」こそありませんが、掃除機の本質である「ゴミを吸う能力」そして「扱いやすさ」に徹底しています。
そのプロ好みの性質ゆえ、新幹線の車内清掃や、建築・清掃現場、大型施設の清掃など、掃除の専門家に広く愛用されている事で有名です。
北山 羊輔
神機「CL107FDSHW」の登場
そんなプロ御用達のマキタの掃除機でしたが、主婦向けの雑誌でその性能が紹介されたことをきっかけに、一気に一般家庭へと普及し始めました。
特に、2016年10月に発売された『CL107FDSHW』は、従来製品よりも重量・充電時間を家庭向けに大幅に改良。
その圧倒的な安さと機能が世間に知れ渡り、在庫が補充される度に一瞬で完売するほどの人気となりました。
現在では在庫も落ち着き、安定して購入できるようになっています。
ダイソンとの比較
マキタ、ダイソン両メーカーに複数商品が存在しており、一概には比較できないのですが、両社の代表的な製品である以下の2点を例にしたいと思います。
- 価格.comにおけるマキタの売れ筋1位、総合1位:「Makita CL107FDSHW」
- 価格.comにおけるダイソンの売れ筋1位、総合2位:「Dyson V8 Fluffy SV10FF2」
記載されている金額や順位は、執筆時(2018年1月6日)時点の数値です。
また、各性能のスペックはそれぞれの公式製品ページ(CL107FDSHW、V8 Fluffy SV10FF2)におけるカタログスペックをそのまま記載しております。
機種 | ダイソン V8 Fluffy SV10FF2 | マキタ CL107FDSHW |
価格 | ¥53,398 | ¥13,000 |
質量 | 2.61kg | 1.1kg |
連続使用時間 | 30分 (ヘッド駆動) | 25分 |
充電にかかる時間 | 約5時間 | 約22分 |
スイッチ | トリガー式 | ワンタッチスイッチ式 |
付属ツール | 豊富 | 別売り |
とにかく注目していただきたいのが価格。その差なんと4倍以上。
他の市場で、トップリード機種と次点人気機種の間にこれほどの「負の価格格差」が見られるケースってあるんでしょうか。なんだかGoPro感ありますね。
基本性能に関しても、マキタの掃除機の方が全体的にプロ仕様で、軽量で取り回しが良く、女性やお年寄りにも優しい仕様。
付属ツールの豊富さや、ヘッドの回転による絨毯などの集塵力、廃気フィルタの質など、ダイソンが勝っているであろう点はいくつかあるのですが、さすがにこの価格差を納得させる材料になるはずがありません。
一般的にデザインはダイソンの方が優れているという風潮ですが、ダイソンのモダンで大仰なデザインよりも、マキタの飾らないシンプルさと機能美に魅力を感じるのは僕だけでしょうか。
簡潔にマキタの特徴をまとめると以下のようになるでしょう。
- とにかく本体が圧倒的に軽い
- 充電に必要な時間が短い
- 充電の持ちが良い
- 価格が安い
- 全体的に女性に優しい
吸引力という不明瞭な基準
吸引力については、すごーくデリケートな話になるので、少し踏み込んで説明します。
ダイソンの掃除機といえば、吸引力が強いという評判が一般的でしょう。
しかし、結論から申し上げるとダイソンの掃除機は、
吸引力が変わらないと言っているだけであって、吸引力そのものが強いとは言っていません。
こちらは、2006年4月に独立行政法人国民生活センターが公表した「サイクロン方式の掃除機」というレポートからの抜粋です。
No.4がダイソン社が当時売り出していた「DC-12」というサイクロン掃除機。それ以外の5機種は国内の機種です。
グラフを見ていただければ分かるように、ダイソンの掃除機には、確かに吸引力の落ち幅はありませんが、他の国産メーカーに比べて吸込仕事率が低いことが分かります。
計算式 : 吸込仕事率=0.01666×風量(立方m/min)×真空度(Pa)
ダイソンは途中から吸込仕事率の数値を非公開にしたため、スティッククリーナーにおいては正確な数値が分からず、比較することはできないのですが、とにかくここで言いたい事は、キャッチの先入観で評価するのは非常に危険であるということです。
ダイソンの掃除機の吸引力は決して弱くない
しかし、だからと言ってダイソンは吸引力が低い!というのは短絡的です。
ダイソンの掃除機は、国産製品と比べてヘッドの吸込み口と床の距離が近く設計されており、直下への吸引力を高めています。また、ヘッドには回転ブラシを搭載し、絨毯での使用などに対応しています。
しかし、吸込仕事率の測定はヘッドを付けない状態で行われるため、上記のようなヘッドの工夫による吸引力への恩恵が反映されないのです。
僕個人の使用感としては、ダイソンのコードレス掃除機の吸引力はフローリングではトップクラス、絨毯やカーペットの掃除においては間違いなくトップです。
ただし、一般的なフローリングの部屋に必要な吸込仕事率は一定数以上は必要ないとの指摘もありますし、吸引力が強いほど、特に女性の力だと床や絨毯への吸着力で扱いづらくなるという弊害もあります。
そういった全ての要素を加味して吸引力を総合的に評価できる基準なんてそもそも存在せず、数値的に比較すること自体がナンセンスです。
一部ではありますが、各メーカーの掃除機の吸引力を、同条件下で公平に比較・検証している記事もございますので、そういった、ご自身が信頼できると思うソースを見つけ、判断基準になさるのが無難かと思います。
結局どちらを買うべきなのか
最後に、ここまでの内容を踏まえた上で、私見ではございますが、どのような人がマキタとダイソンの掃除機を購入されるべきかをでまとめてみます。
・ダイソン掃除機のデザインが好きな人
・完璧な吸引力を求める人
・カーペットや絨毯などに使用したい人
それ以外全員
極端に感じるかもしれませんが、総合的なスペックと値段のバランスを客観的に評価すればこの結論は当然でしょう。
上記の3つの条件に見合う方や、4倍もの価格差に見合った付加価値を見いだせる方はダイソンを購入するべきですが、それ以外のこだわりの無い方には、まず一度マキタの掃除機を試していただきたいと思います。
他の大手メーカも優れた性能のスティッククリーナーを販売しているのですが、現段階ではマキタのコストパフォーマンスに勝るものは見当たりません。
・握力や腕力の弱い女性やお年寄りの方
・フローリングのみでの使用される方
特にこの2点に該当する方は、マキタの掃除機を選択される事を強くオススメします。
僕は基本的に、価格は気にしすぎず家電は自分のライフスタイルに合ったものを選んでほしいと思っていますが、価格と性能にここまで大きな開きがある場合は、それをしっかりと踏まえた上で納得のいく買い物をしてほしいと思います。
この記事により、マキタの掃除機を知っていただき、皆さんの納得のできる掃除機選びに貢献できれば幸いです。